ネットワークのリースでコストを抑える
IT業界の技術発展のスピードはとても速く、数年も経てばその技術は時代遅れになってしまうものらしいです。したがってネットワークのリースはとても意義があるものとなります。システムを自分のところで立ち上げても数年でまた新しい技術を導入するとなるとそのコストはとても大きくなるでしょう。ネットワークのリースでそのコストを大きく抑えることができると言うのです。
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前回は、危機対応にかかわる全ての関係者が危機対応センター(EOC)に一堂に会すことで「状況把握」と「資源配置」という2種類の情報収集が可能になると説明した。最終回となる今回は、収集した情報を、どのように処理し、見える化し、利用していくかについて解説する。
日本語の「情報」という言葉には、InformationとIntelligenceという2つの意味が含まれている。自衛隊のように危機対応を専門とする機関では、Informationを「情報資料」、Intelligenceを「情報」と呼び、この2つの言葉を厳密に使い分ける。
Informationとは生の情報であり、その真偽の確認、分析が行われて初めてIntelligenceとなる(図1)。危機対応時には、真偽が未確認の情報、場所、時間、発信者が定かではない不完全な情報資料がたくさん入ってくる。こうしたInformationに基づいて危機対応を行うことは誤った判断を下す可能性がある。不完全なInformationをIntelligenceにするための作業が危機対応における情報マネジメントを行う上で不可欠となる。
Intelligence化された情報が危機対応センターに伝達、とりまとめられ、意思決定のための判断基準として利用される。さらに文書管理班により保存されるのだ。危機対応センターを顧客からの電話受付や苦情処理窓口のように考えている組織も存在するが、危機対応センターで取り扱われる情報は、あくまでもIntelligenceであり、顧客からの直接の電話などについては、別途、情報センターを立ち上げてそこで処理する必要がある。
●欲しい情報を要求せよ
危機対応にかかわる情報処理は、こういった情報が必要であるという「情報要求」を出すことから始まる。そうした情報処理の専門機関である米国中央情報局(CIA)では、「情報要求 Planning and Direction」→「情報収集 Collection」→「情報処理 Processing」→「情報分析・生成 Analysis and Production」→「情報公開 Dissemination」という危機管理にかかわる情報プロセスの流れを「インテリジェンス・サイクル Intelligence Cycle」と呼んでいる(図2)。
危機対応に必要な情報とは何か。どのような原因で危機が発生しているのか(例:地震の規模など)という(1)ハザードの情報、そのハザードにより組織の内部や関係する組織にどれだけの被害が発生しているのかという(2)被害情報、発生した被害に対してどのような対応を行っているのかという(3)対応状況、今後どのような方針で危機対処するのかという(4)対処方針という4つの情報が必要になる。この4つの情報を収集したいという要求を関係機関、危機対応要員に出し、情報のとりまとめを行うことが不可欠になる。
行政機関においても同様の方針で情報の収集、とりまとめが行われており、若干順番は異なるが、東日本大震災についての(1)地震の概況、(2)政府の主な対応、(3)被害状況など、(4)被災者支援の状況など、といった情報が毎日更新・提供されている 。しかしながら、危機対応における優先課題は何で、その課題をいつまでに解決するのかという対処方針については明確にされていない場合が多い。
危機対応センターで作成された「とりまとめ報」(図3)は、全ての危機対応にかかわる情報を網羅的に収集するという意味で重要だが、東日本大震災についての政府のとりまとめ報(2011年5月13日17:00現在)を見ると、全体で97ページにもわたる大作となっており、一覧性に欠ける。今どこまで危機対応が進んでおり、どの地域で何が問題で、今後どういった問題が発生することが予想されるのかということについて、直感的に理解できる形式に危機対応の状況を見える化することが必要になる。
2005年に米国で発生したハリケーン・カトリーナ災害時に、ニューオリンズ市の危機対応センターでは、表形式に、危機対応状況のとりまとめが行われていた(図4)。とりまとめ報全体は、その日の気象状況から始まり、全体で79ページにも及ぶが、個々の対応を、とりまとめた表を作成することにより、危機対応全体の進ちょく状況を把握できる。この表では「行」を見ていくと、地域ごとの進捗状況を把握、「列」では下水、上水道といった個々の対応課題を把握することが可能となっている。
●危機対応状況の見える化
こうした危機対応状況の見える化手法は、東日本大震災の危機対応においても、いくつかの自治体でも利用されている。この手法は行政機関だけでなく、企業が危機対応を進める上でも利用可能であり、危機対応の見える化を図る上で有効に機能すると考えられる。図5では、医療のトリアージで利用されるカラースキームが利用されており、「黒:情報なし」、「赤:未復旧・未対応」、「黄:一部復旧、一部対応済」、「緑:復旧」を意味する。
危機対応の見える化を行う場合、こうした表に加えて、情報の地図化も有効な手段である。京都大学防災研究所を中心とするグループがEMT(Emergency Mapping Team)を立ち上げ、さまざまな機関が発信する被害、危機対応状況について地図を作成するプロジェクトを実施している 。
見える化された情報に基づき危機対応計画(Incident Action Plan, IAP)が作成される。この計画が対処方針といえる。日本の危機対応情報において対処方針が示されていないのは、連載第1回で説明した目標達成型(Management by Objective)の危機対応が行われておらず、危機対応計画が作成されていないことによる。繰り返しになるが、関係機関、関係者にいつ復旧するのかという情報を発信することは重要である。
●危機対応時の資料は捨てるな!
活動期間(Operational Period)ごとにとりまとめ報や危機対応計画を策定し、計画に基づき対応を実施するというプロセスを危機事態が沈静化するまで継続する。危機対応の沈静化とは、危機対応の見える化の表全ての項目が緑になることを意味する。ひとたび危機対応を実施すると、情報資料、とりまとめ報、そして危機対応計画が大量に生成される。危機対応が終わると対応に利用した資料は全て廃棄されてしまうことが多いが、冒頭で説明したように、文書管理班を設け、整理、保存しておくことが重要である。さらには、危機対応マニュアルの見直しのため、時系列的な対応記録、危機対応活動の検証結果、マスコミ報道といった内容から構成されるアフター・アクション・レポートを作成する必要がある。
資料を残しておく意味はレポートの作成にのみ役立つのではなく、危機対応訓練を行う際に非常に重要な資料となるからだ。通常、危機対応訓練は企画者が危機事案のシナリオを作成し、そのシナリオに従って訓練が実施される。このシナリオはあくまでも人間が考えたものであり実際の危機対応の状況を完全に再現することはできない。しかしながら、実際に危機対応を実施した時の情報を、いつ情報が入ってきたのかというタイムスタンプと共に整理、保存しておくと、状況付与シナリオとして利用することが可能になる。この資料を利用した訓練を行うことで、危機対応を経験していない人にも実際の危機対応の状況について追体験させることができる(図6)。筆者らのグループは、危機対応訓練において、実際の危機対応時に入ってきた情報を利用して、実時間の2〜3倍のスピードで状況付与を行い、情報のとりまとめを行うという訓練を実施している。
これまで3回にわたって、危機対応時の情報処理の考え方、情報共有を可能にする危機対応センターの空間設計、情報のとりまとめ方といった内容を解説してきた。危機対応の要諦は、情報処理にある。これまで述べてきたことが、各組織の危機対応能力の向上に少しでも寄与することを望んでいる。 【牧紀男,京都大学防災研究所巨大災害研究センター】